鍾乳洞の生きものたち
洞くつ性動物とは
まっ暗な洞くつの中にも、たくさんの動物がみられます。コウモリやゲジゲジは私たちもよく知っています。でも、私たちの知らない動物だってたくさんいます。そのなかには目が退化してなくなってしまった動物もいます。このように、洞くつの中にすんでいる動物のことを洞くつ性動物と呼んでいます。≪右写真:ユビナガコウモリ≫
コウモリ
洞くつの中で、最初に目にとまる動物はコウモリです。コウモリが洞くつに住めるのは、光のないところでも、自由に飛ぶことができるからです。コウモリは音を使って暗闇の中も探ることができます。だから洞くつの中をねぐらにして昼間にはここでゆっくり眠ります。そして夜になると、洞くつから森の中へ飛び出してゆきます。森の中には蛾やカナブンなどたくさんの昆虫がいるので、コウモリは餌に不自由しません。![]() |
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| キクガシラコウモリ | モモジロコウモリ | テングコウモリ | ユビナガコウモリ |
コウモリのからだ
コウモリには手が変化してできた翼があります。翼と足の間にも体側膜と呼ぶ膜があり、尾と両足の間にも尾膜と呼ばれる膜があります。この膜でできた翼をはばたいて、森の中をたくみに飛びます。暗闇の洞くつの中では、目は役に立ちません。コウモリは人には聞こえないかん高い声(超音波)を出して飛び、物にあたって反響してくる声を聞いて壁の位置を知ります。コウモリはこのような方法で洞くつの中を自由に飛ぶことができます。

▲飛んでいるコキクガシラコウモリ

コウモリの飛び方
コウモリは翼をはばたいて飛びます。翼をうちおろす際には指をいっぱいに開き、前方にふりおろします。そしてふたたびもとの位置までもどすときは翼をいくぶんたたみます。コキクガシラコウモリのように軽くて、広い翼をもつコウモリは、茂みのなかを身をくねらせながら飛ぶことができます。テングコウモリは空中の一点に停止する(ホーバー飛行)ことさえもできます。
≪右写真:飛ぼうとしているテングコウモリ≫

コウモリの子育て
コウモリは夏、洞くつで子を生みます。子の数は原則として1頭です。何百頭の母親コウモリは洞くつの1か所に集合して、集団で赤ん坊を生みます。母コウモリは餌を食べに洞くつから出るときには、子を洞くつに残していきます。フクロウなどの天敵に襲われたとき、子を連れていたのでは逃げ切れないからです。お腹がいっぱいになると、母コウモリは赤ん坊の待っている洞くつに帰ってきます。そこでたくさんの赤ん坊の中から、自分の子どもを探し出します。このとき、母コウモリと子コウモリの間では超音波の声の交信が続けられます。
≪右写真:モモジロコウモリのお産≫
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| ▲キクガシラコウモリの赤ちゃん | ▲ユビナガコウモリの赤ちゃんの群れ |
目のない動物
洞くつにすむ動物の中には目が退化した動物もたくさんいます。その多くは一生涯を洞くつの中で過ごします。だから洞くつの動物は太陽の光をみたことのない動物たちです。このような動物を真洞くつ性動物とも呼んでいます。洞くつの中には野外にすむ動物がまぎれ込んできたものもいます。外来性動物と呼びます。このような動物は、暗闇の世界では生きていけませんので、やがては死んでしまいます。
≪右写真:ホラアナナガコムシの一種≫
秋吉台にすむ洞くつ動物
秋吉台の洞くつにすむ動物はたくさんいます。ゴミムシやガロアムシ、ホラアナナガコムシといった昆虫のほか、アキヨシホラヒメグモ、アキヨシマシラグモなどのクモ類もいます。この動物のなかには、大昔、地上で栄えた子孫が、洞くつの中で細々と生き続けているものもいます。「生きた化石」と呼ばれるグループです。ガロアムシやムカシエビはその例です。
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| ガロアムシ | オオアカザトウムシ | アキヨシチビゴミムシ | アキヨシアゴザトウムシ |
洞くつ動物のからだ
生涯を暗闇の中で過ごす動物のなかには、目が退化してなくなったものがたくさんいます。また、体は白くて、触角は長く、脚や体に触毛が生えています。
≪右写真:目の退化したシコクヨコエビ≫

洞くつの植物
洞くつの中にはバクテリアなど目に見えない微生物もいると言われています。朽木にはキノコ、コウモリの糞にはカビも生えていてびっくりします。![]() |
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| ▲イヌセンボンタケ | ▲コウモリの糞に生えたカビの一種 |
洞くつは化石の宝庫
洞くつの土の中や石の下で、ゾウの化石が発見されることがあります。1万年以上前、秋吉台上にすんでいたゾウが洞くつに落ち、この骨が化石として残っていたのです。このように、洞くつには大昔の動物化石がたくさん残されています。
昭和47年のこと、西秋吉台の洞くつからヤベオオツノジカの骨が発見されました。親子二体分の骨がでてきたのです。科学者は、この骨をたんねんに集めて並べてみました。なくなってしまった部分の骨もありましたが、なんとか全体の姿を復元することができました。その姿を見たとき、そのあまりの大きさに驚いてしまいました。
こうして、今から15万年前から1万年前まで、秋吉台をかけまわっていたヤベオオツノジカがはじめて復元されたのです。
秋吉台の採石場には、もっと昔の洞くつの底が見られることがあります。このようなところでは、今から50万年もの昔のけものの化石が発見されることがあります。楊氏トラやニッポンサイ、ヒョウといった猛獣たちです。
≪右写真:化石を探る人々≫

▲化石をふくんだ岩の割れ目














